論座2月号
「激論!!小林よしのりVS.本誌編集長 分裂する保守 北朝鮮 核武装‥‥」が読みたくて本屋さんへ行きました。が、見るとかなり恥ずかしい表紙で、レジに持っていくときおもわず裏向けてしまいました。ごめんなさい。‥‥だって、よしりんが、3人いるんだよ!キモいよ!一人は上からぶら下がっちゃってるし!しかし、『論座』って雑誌、書体とかデザインとか、おもってたより洒落たつくりなんですね。『正論』よりとっつきやすかったです。
内容は、別に激論してなかったです。普通のインタビュー記事っぽかったです。ゲスト対編集長ですもんね。そりゃそうか。面白かったところを箇条書きで。要約アリなので正しい内容を知りたい方は、よしりん3匹表紙の論座を買って読んでくれい。カッコ内は発言者。
- 『諸君!』『正論』系は論壇誌なのに論理ではなく情緒に走りすぎ。(薬師寺)
ん?どっかで聞いたセリフだなー‥‥と思って、思い出したのがこれでした。→評論家 西部邁さんに聞く アメリカニズムに屈した戦後民主主義の帰結 デマゴギーの時代がやってきた。こんな事が書いてありました。
日本の保守思想にはロジックがないからね。日本の保守思想の命脈がかろうじて保たれてきたのは、例えば小林秀雄に代表されるような保守的文芸のおかげだった。文芸的表現というのは、感覚・感性に訴えるものでしょう。彼らは、「伝統、伝統」とは言ってきたけど、ロジックとして社会制度論・政治論や歴史論を表現することはできなかった。
そういや、3匹のよしりん論座と一緒に買った本も、似たような事が書いてありました。
- 作者: 赤瀬川原平
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/24
- メディア: 単行本
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必要がなかったから、論理的にガチガチに武装される事もなく、強烈だったり明確だったりすることもなく、はっきりくっきりさせられてない大和魂。この本では、そんな大和魂を世界が必要とする日がやがて来る、みたいな結論です。すこし『戦争論3』のラストを彷彿とさせられました。でもわたしは、今まではそれでよかったのかもしれないけれど、怒涛のグローバル化の波、ここまで欧化された日本において、これからはもうちょっとロジカルにやる必要があるのかもしれないとも思います。‥‥それが「なんとなく匂う」ものを感じ取る「やまとだましい」にそぐわないかもしれないけれど。そしてわたしにはそんなロジカルシンキンは無理ですけれども。誰か賢い人、やってください。つうかそれを『正論』でやってください、っちゅーこっちゃね。
- 自分の仕事は知識人批判である、という話から続いて‥‥「わしは今、いちおう大東亜戦争肯定論という立場に立っているけど、わしがあの時代、支那事変が始まって以降の解決策が見えないような時代にもし生きていたとしたら、おそらく政府や軍部を批判していたと思いますよ。」(小林)
‥‥うわー。戦時中は体制翼賛だった朝日新聞系列の論座で。よう言った。よしりんなら実際、そうすると思うけど。そんで朝日新聞に「軍部を批判するとは何事かー!」みたいにボロクソ言われて。うわー、目に浮かぶわー。
- 1月発売の『わしズム』では「パトリなきナショナリズム」を特集しています。(小林)
ひぃ、面白そう!買います。
- 「パトリなきナショナリズム」を受けて「新しい公的空間を作っていかなければいけないと思います」(薬師寺)
「ネオリベラリズムはもうやむなき趨勢だから、ネオパトリオティズムをつくろうというのは危険」(小林)
その辺のことはオウムでよっくわかってるよねって話。このあとすこし入り組んだ話で‥‥このままではポピュリズムが行くとこまでいって、行き過ぎではないのか?という国民の不安や疑問を国家主義に利用されてしまいかねないよって話‥‥でいいの、か、な?
- 死んだ人間も選挙権を持つという、そういう感覚ですよ(小林)
民主主義のもつ危険性を回避するには、の話。これは西部邁さんもよくする話。八木秀次さんも『わしズム』でやってたね。死者の民主主義。今生きている人間の価値観や視点だけではなく、その国の歴史、風土、国民性、そして未来を見据えた政治をというやつ。
- 民主主義システムというのは価値ではなく、やっぱり方法論なんですよね(薬師寺)
でも価値だと勘違いしてる人多いね。左右問わず。
- 核武装論・自主防衛論について「わしは軍事の問題を、合理的にどうかという観点からは考えません。同義的なところから考えます。まずは沖縄をどうするんだと。日米同盟だけを機軸にすると、日本の主体的判断なんて入り込む余地がない。全部アメリカが決めて、日本はただそれを受け入れているだけです。この感覚自体を何とかしなければ」(小林)
この話になるといつも思い出すのがこの本。
- 作者: 宮崎駿
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1983/06
- メディア: 文庫
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暗ーくて、地味な話ですが、わたしこの本大好きなんです。何で思い出すのかっていうと、ヒロインが追っ手から逃れてたどり着いた小さな村は外敵に侵略されそうになるんですが、そのとき村人総出で戦うんです。老若男女問わず。ばあさんまで銃を持って戦う。しかもなんでか、壮絶だったり悲壮だったりする迫力ある絵ではなく、どちらかというと牧歌的な明るい絵で描かれています。「おりゃー!テメー!コンニャロー!」ってかんじに。この雰囲気が好きで。自分たちの土地を、自分たちで守る。こういう姿勢って人間が立って歩く、背骨だよね。自分の足で立って歩いてるから、明るくたくましく「コンニャロー!」がやれる。背骨なくってさ、立つこともできなくてさ、なにが国家だよ愛国だよ平和だよ自由だよなめんな、って。戦術や方法論やどこと組むとかじゃなく、その前提の心構え。よしりんが言う「覚悟」って、これのことだよね。どんな立派な建築物もその基盤がてきとうなら、小さな地震にも耐えることができず、きっと倒れるでしょう。
- 日本が核を持たないと明言することで、もうすでに外交のカードを一枚捨てていることになるんじゃないですか(小林)
核の話で思い出したのは「Will」の上坂冬子さんとの対談。最近になって左側陣営が核武装について「議論しよう」と言い出したのは、結論が「核武装に利はない」となるのがわかっての上での戦略であるという話。そしてそれは右側論客である石破茂らの発言が誘発している、との説。ジョーカーを持ってないことを明言してしまったら、ゲームの場ではそりゃ、‥‥ねぇ。
- 西部さんと付き合っていたら、わしは知識人にならなきゃいけなくなっちゃうからな。(小林)
‥‥出た。けど、やっぱ悪くは言わないね。わたしは二人とも好きなので、たまにでいいから絡んでね。
最後もちょっとおもしろい発言あるけど、おわり。