おかわり

たーんとおたべ

aikoのトンネル

 

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aikoの「トンネル」聞いてます。

 

aikoが友達の結婚祝いにつくった」みたいな情報が散見されたけど、
一次ソースないからほんまかよーわからん。
けど、それがもしほんまやったら、
友達、aikoにどこまで心の内さらしよんねん……って思った。
うち、無理。
トンネルにいるときの話なんか、どんなに仲いい友達にもようせんわ、
すげえな、めっちゃさらけだすなって思った。


そんなふうにできたらなって思った。

 

 

 

誰が読むのか知らない。歌詞の正しい意味も知らない。
でも、吐き出さないと死んでしまいそうなので書いてみる。

 

  

水が高いところから低いところへと流れるように、春になると一斉に花が咲き、虫が舞い出すように、そんなふうに自然にある人を好きになっていることに気がついて、ああ、と思って温かくなる、「その人を好きである」こと自体の幸せをかみしめる。

 

そんなに好きになった相手であっても、いや、そんだけ好きになった相手やからこそなんかな……自分以外の人にとってはほんささいなことに思われるようなことがきっかけでトンネルに迷い込む。私たちは人間やから、愚かでもろく、疑い深い、裏切られて傷つくのを恐れる臆病な人間やから、そんなふうにバランスを崩してしまうことって、あるでしょう?

 

知っているでしょう?あの瞬間、あの心境。あなたが大人なら、誰かを心から愛したことがあるのなら。頭でわかってることと心が感じることがこんなにも違うのはなぜ?と自分自身に問わずにおられない、息をするように信じていたのに、相手の一つ一つの言葉、一挙手一投足の裏の裏を読んでしまうような、今までどうやってあんなに無邪気に愛することができていたのかと、自分と相手を見失ってしまう、5センチ先も見えないような真っ暗闇に放り出される瞬間。

 

出口はわからず、というか、そもそも出口があることも思いつかないような、どっちが上で、下で、左か右か、座標を失うようにさまようのみの空間、不安定で心細い、長い長い時間。

 

ただ、この悪夢のような場所からは逃げ出すことが可能で、愛から離れれば私たちはちゃんと着地して、時間も時計どおりに進み出す。ただ忘れればいい。遠ざければいい。諦めればいい。賢く、大人になって、バランスを大事にして、欲しがらなければいい。なくても困らないものなら、なかったことにすればいいだけ。

 

でも、それができないなら?あの温かさを忘れられないなら?胸が締めつけられるような感動をもう一度信じてみたいなら?

  

それなら、真っ暗闇にもう一度飛び込んで、抜け出せるのかどうかもわからないまま、死ぬのも覚悟でもがくしかない。自分の全身全霊をかけて、真実はどうなっているのか、見て、見て、苦しくてもちゃんと見て、裏切られることを恐れるよりも、信じて、臆病な自分を打ち明けなくちゃいけない。このトンネルを抜けたとき、真実が自分を切り裂くことになるかもしれないけど、信じていた全てを失い、何にも手にしていないかもしれなくても……愛を心から願うなら、そうしなくちゃ仕方ない。真っ暗闇に飛び込んで、あほみたいに一生懸命やるしかない。相手を信じて、あの子ならきっと、こんなあほみたいな自分も許してくれるって信じて、行かなしゃあない。

 

 真っ暗闇で大騒ぎして、暴れながら歩いたり走ったり、立ちどまって振り返り、引き返してなぜと問うたり、あそこが痛い、ここがだるい、眠たい、暑い、腹減ったってぶつぶつ文句言うて、それでも何とかちょっとずつでも前に、行きつ戻りつしながらも前に進み続けてたら、遠くに薄明かりが差して、あ、出口や、こんな近くやったのねってなる。トンネル抜けたら、そこは雪国でもなく、今までどおりの平凡な毎日で、ついこないだまでこの世の終わりやったのが嘘みたい。「そうそう、ここやった、あたしが帰ってきたかったのはここやった」って安堵して、トンネルに入る前と同じやけど同じじゃない、「ここ」を愛おしく感じる。

たったひとりで歩き抜くしかない、自分の心をたどる遠い遠い道程で知ったのは、あの子があのとき言った言葉、示した厳しさ、くれた優しさ、心遣いが、今ではもう、自分の世界に吹きそよぐ風のように、空に瞬く星のように、自分の心の一部であるということ。もう既に私の中からは「あなたと過ごした日々」が分かちがたいのだという事実。

 

行ってみてよかった。逃げやんでよかった。日常はキラキラしててきれいやな。トンネル抜けたら、いつもの毎日がまぶしい。あーよかったよかった、よかったなー!ほんま、あほでよかった!逃げんでよかった!あの子を好きでよかった!あー、恥ずかし、あー、うれし!って、息を吹き返した、そんな感じ。愛にも、日常にも、ふだんは気づくことのない真っ暗な幾つもの穴ぼこが、そこかしこでぽっかり口をあけている陥穽が潜んでいて、自分の心一つでコントロールを失って迷い込んでしまうことがあるけど……失いたくないのなら、取り戻したいのなら、怖くても逃げずに、たとえ一度逃げてしまってももう一回、何回でもやり直せるから、行ってみるしかないんやろな。

 

出口であの子が待ってるって信じて。

 

 

ほんま、あと何キロで出口なんか教えといてほしいわ……疲れる。心のナビが欲しいよ。そしたら、もうちょっと人生、楽にいけると思う。けど、そんなんおもんないか。短い人生、てんやわんやして遊ばなあかんもんな。